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2016年9月30日金曜日

初期研修(7月&9月)

 7月と9月に初期研修の先生が1ヶ月ずつ検査部をローテートしてくれました。
 
 7月にローテートした木岡先生は関東出身ですが長崎の街が好きで長崎大学の初期研修を選んでくれたようです。学生時代は検査部での実習がほとんどなかったとのことで、検査部ではどのようなことをしているのか知りたい!ということで検査部を選んでくれたとのことです。木岡先生は微生物検査室で1週間、生理機能検査室で2週間研修を行いましたが、その他にも輸血の話も聞いてみたいということで、ポリクリの輸血講義にも参加してくれました。毎日行っている血液検査・生化学検査のデータの解釈(ミニR-CPC)でも、研修医1年目の最初とは思えないぐらい正確にデータを読めており、非常に優秀でした。

 9月にローテートした堀内先生は、研修医2年目で、検査部で実際にどのようなことをしているのかみたいということで、検査部を選択してくれました。微生物検査室1週間、生理機能検査室2週間、遺伝子検査室1週間の予定で研修を行いました。研修医で遺伝子検査室の研修を行ったのは初めてでしたが、今年導入した次世代シーケンサーなどの最新の機械に触れてもらいました。また、ミニR-CPCについては2年目ということもあり、しっかりと患者さんの病態まで検査値から読むことが出来ていました。


検査部での初期研修については、それぞれの希望を聞いて、その希望に合わせて実習および研修の予定を組んでいます。興味のある分野の技術を習得したい、苦手な分野を克服したいなどさまざまな要望に応えていきたいと考えていますので、興味のある学生さんおよび初期研修医の先生はいつでも相談してください。

以下、リンクです。
検査部ホームページ(学生教育)
検査部ホームページ(初期研修)

これまでの初期研修の記事は→リンク

2016年9月27日火曜日

新規抗MRSA薬TZDの効果・Int J Med Microbiol (original article)


Kaku N, Morinaga Y, et al. Antimicrobial and immunomodulatory effect of tedizolid against methicillin-resistant Staphylococcus aureus in a murine model of hematogenous pulmonary infection. Int J Med  Microbiol. 306. 421-8, 2016(リンク).



 当教室の賀来敬仁助教のtedizolidのMRSA血行性肺感染マウスモデルにおける有効性についての論文がInternational Journal of Medical Microbiology誌に掲載されました(2016年9月付)。テディゾリド(Tedizolid, TZD)はオキサゾリジノン系の新規抗菌薬であり、アメリカおよびヨーロッパでは皮膚軟部組織感染症に対する治療薬として経口薬および注射薬が承認されたばかりの薬剤で、日本でも第Ⅲ相臨床試験が実施されています。

 本研究では、長崎大学病院検査部で以前から研究しているMRSA血行性肺感染マウスモデルを用いて、TZDが肺感染症でも有効か検討しました。MRSA肺感染症で主に用いられるバンコマイシン(VCM)と比較したところ、TZDはVCMよりも有意に生存率、生菌数を改善しました。また、LZDとの比較においては、生存率・生菌数での非劣性を示しました。本研究でのLZDの投与量が120mg✕2回/日投与であったのに対して、TZDが20mg✕1回/日投与と、投与量がかなり少ない状況でも非劣性であったことから、MRSA肺感染症の治療薬としては有用な薬剤になると考えられます。
 また、同じオキサゾリジノン系抗菌薬であるLZDでは、抗菌作用以外にも免疫調整作用があることが報告されており、賀来助教も以前報告しています(Kaku, et al. Antimicrobial Agents and Chemother, 2014)。本研究ではTZDがLZDと同じように血中の炎症性サイトカインを減少させたことが分かり、免疫調節作用についても期待ができそうです。

 当教室では、栁原教授小佐井助教賀来助教を中心に、臨床分離株、気道上皮細胞、感染症マウスモデルなどを用いて感染症の病態解明や抗菌薬の効果について研究しています。研究に興味のある方は、お問い合わせください


 これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2016年9月25日日曜日

HBI-8000 in ATL・Cancer Sci (original article)


Hasegawa H, Bissonnette RP, et al. Induction of apoptosis by HBI-8000 in adult T-cell leukemia/lymphoma is associated with activation of Bim and NLRP3. Cancer Sci. 107: 1124-33, 2016.(リンク)



 当教室の長谷川寛雄講師のATLにおけるHBI-8000の効果についての論文が日本癌学会の英文誌であるCancer Science誌に原著論文として掲載されました。HBI-8000は新規の経口ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で、日本では末梢性T細胞リンパ腫の治療にかかる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています(リンク先参照)。現在、悪性リンパ腫を対象とした第2相臨床試験が検討されています。

 本研究では、ATL由来細胞株およびATL患者検体におけるChidamideの効果を評価しました。Chidamideは、ATL由来細胞株およびATL患者検体において腫瘍増殖抑制効果を示し、両細胞にアポトーシスを誘導しました。そのメカニズムとしては、免疫応答や細胞の生存など多彩な生命現象に関与しているNFκBの阻害作用が示唆され、自然免疫系の重要な構成要素であるNLRP3の関与するインフラマソーム経路の活性化がATL細胞死に寄与している知見が得られました。Chidamide によるNLRP3活性化は、がんの新たな治療戦略の一部として大変興味深い現象と思われます。


 当教室では、長谷川寛雄講師を中心に、ATLなどの血液疾患の診断、治療についての基礎研究及び臨床研究を積極的に行っています。研究内容に興味のある方がいらっしゃったら、お問い合わせください
 
 これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2016年9月23日金曜日

キノロン耐性肺炎球菌の新規検出法・J Microbiol Methods (Note)


Uno N, Araki N, et al. Clinical application of a ligation-independent pathway of multiplex ligation-dependent probe amplification for the determination of quinolone susceptibility of Streptococcus pneumoniae. J Microbiol Methods. 128:13-5, 2016(リンク).


 当教室の宇野直輝助教が新たな核酸増幅法を開発し、キノロン耐性肺炎球菌の検出に応用した論文がJournal of Microbiological Methods誌に原著論文として掲載されました(2016年9月付)。

 現在、MLPA(マルチプレックスライゲーション依存的プローブ増幅法)というマルチプレックスPCRの応用法が筋ジストロフィー等の遺伝性疾患の検査技術に用いられています。MLPAはその名の通りライゲーション依存的反応と考えられていましたが、宇野直輝助教はMLPAのライゲーション非依存的反応経路を以前明らかにしています(Analytical Sciences. 30: 805-10, 2014.)。今回は、このライゲーション非依存的プローブ増幅という新しい核酸増幅法をキノロン耐性肺炎球菌の検出に応用しました。この方法はMLPAに比べてかなり迅速で簡単な方法であり、微生物の迅速診断技術に応用できます。しかし、現時点ではMLPAほどのマルチプレックスの反応ができないのが課題です。

 当教室では、宇野直輝助教を中心に、遺伝子解析技術をベースとした新規検査法の開発を行っています。研究内容に興味のある方がいらっしゃったら、お問い合わせください






 これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2016年9月20日火曜日

受賞報告


生理機能検査室の木村由美子主任が「病院長表彰(優秀職員)」を受けました。
これは、長崎大学病院に勤務する職員で、学会等において積極的に発表を行った職員に授与されるものです。

木村主任は、3月に学位(医学博士)取得後も、心臓超音波検査や微生物検査についての研究を積極的に行っており、国内学会だけでなく海外の学会でも積極的に発表を行っています。

4月から主任となって日常業務も忙しくなっているようですが、今後も生理機能検査および微生物検査の分野で研究を発展させてくれると思います。

当ブログで紹介した受賞報告はこちら→リンク




2016年9月16日金曜日

サイトメガロウイルスDNA定量法・臨床病理(原著論文)






森 沙耶香、森永 芳智, et al. サイトメガロウイルスモニタリングにおける抗原測定法とDNA定量法の比較検討. 臨床病理. 64: 881-886, 2016.





 長崎大学病院検査部の森 沙耶香技師のサイトメガロウイルス(CMV)DNA定量法についての論文が、日本臨床検査医学会誌である「臨床病理」に原著論文として掲載されました(2016年8月付け)。

 現在、日本でのCMV検出はantigenemia法(抗原測定法)が主流であり、CMV pp65抗原を検出するC7-HRP法がよく用いられています。本研究では、欧米におけるCMV検出の主流である核酸検査を用いて血液疾患症例でのCMV検出を検討し、高感度な検出法であることを確認しました。

 森技師は、最近も日本検査血液学会の助成を受けて国際学会でも発表をしており、ルーチン検査だけでなく、研究でも優れた業績を残しています。今後の活躍にも期待です!

 これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2016年9月12日月曜日

第7回長崎臨床検査Reversed-CPC研究会@佐世保

9月10日(土)に第7回長崎臨床検査Reversed-CPC(R-CPC)研究会を開催しました。

今回は、佐世保市総合医療センター(旧佐世保市立総合病院)での開催で、長崎市以外での開催は第4回の諌早総合病院以来です。初の県北開催ということもあり、初めて参加された方も多かったようです。

R-CPCの1症例目の担当は長崎大学病院で、バセドウ病未治療症例での感染症を契機とした甲状腺クリーゼの症例でした。甲状腺クリーゼの検査データをみる機会はほとんどないため、非常に勉強になる症例でした。また、2症例目は佐世保市総合医療センターが担当で、気腫性腎盂腎炎+DICの症例でした。検査データのみで重症感染症の病態を読み解く難しさもありましたが、こちらも大変有意義なディスカッションができたのではないでしょうか。

特別講演は、佐賀大学医学部臨床検査医学講座の末岡榮三郎先生をお招きし、「遺伝子診断の現在と未来」というタイトルで、サーキュレーションDNAなどを用いたこれからの遺伝子検査についてお話をしたいただきました。また、メディカルバイオバンクセンターなどの先進的な施設についても紹介していただき、大変勉強になりました。

次回は、2017年3月25日に長崎大学で第8回長崎臨床検査Reversed-CPC研究会を開催する予定です。詳細が決まりましたら、検査部のホームページFacebookでお知らせいたしますので、是非ご参加ください。
初めての方や研修医・学生も大歓迎です!


これまでのR-CPCの報告は→リンク

2016年9月6日火曜日

第63回日本臨床検査医学会学術集会@神戸

 9月1日〜4日に神戸国際会議場・国際展示場で開催された第63回日本臨床検査医学会学術集会に栁原教授長谷川講師宇野助教賀来助教の教官4名、検査技師は木村主任、石原技師、村田技師、山内技師、山川技師の5名の合計9名が参加してきました。

 今回は、第32回世界医学検査学会(IFBLS 2016)および第65回日本医学検査学会、第11回日本臨床検査学教育学会学術大会との4学会合同開催であり、非常に規模の大きな学会となりました。当教室は、日本語の一般演題を5演題、英語の一般演題を2演題(木村主任、石原技師)発表しました。また、長谷川講師宇野助教はR-CPCの演者として発表を行いました。

 学会期間中に行った検査部の懇親会には、昨年まで医学部生として当教室で研究をして、現在は神戸で初期研修をしている東野先生も参加してくれて、非常に盛り上がりました。また、栁原教授の誕生日が近いということで、ケーキのサプライズもあったようです。

 今後も研究成果を学会で発表していけるように、検査部全体として日常業務だけでなく、研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います。




これまでの国内学会報告は→リンク