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2016年5月31日火曜日

熊本医療支援活動報告①DVT対策

この度、熊本県において発生した地震により被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。震災から一ヶ月半以上が過ぎましたが、まだまだ不安な日々を過ごしている方も多くいらっしゃると思います。当教室としても、今後も微力ながら被災した医療機関の支援等を行っていきたいと考えています。

さて、4月下旬〜5月上旬にかけて当教室の医師・臨床検査技師が以下のような活動を行いました。
①日本臨床衛生検査技師会:南技師長、古島技師(生理機能検査室)、海端技師(サテライト検査室)
②長崎大学医療支援チーム(第6陣):賀来助教
③日本環境感染学会:栁原教授、木村主任(生理機能検査室)、川元技師(微生物検査室)

今日は、①日本臨床衛生検査技師会派遣の3名が行った深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis;DVT)対策についての活動報告です。

 被災地では、避難所や車中泊などでDVTとなり、肺塞栓症などの重篤な疾患が増加していることが問題となっていました。そこで、3名は熊本市を中心に避難所でDVTのリスクがある人のスクリーニングを行いました。DVTがあるかどうかの判定には超音波検査が簡便かつ重要です。

 スクリーニングではまず、避難所や検診車などで被災者の方の下肢静脈の超音波検査を行いました。超音波検査で血栓が認められた場合は、血液検査でD-dimerの測定を行い、2.0μl/dl以上であれば医療機関への紹介となりました。また、D-dimerが2.0μl/dl以下の場合と、超音波検査で血栓がなくてもDVTハイリスク(表参照)の場合は、弾性ストッキングの指導を行ったとのことです



 現時点でも車中泊や避難所で生活をされている被災者の方も多くいらっしゃるようですので、DVT対策は継続して行っていく必要があるようです。
 災害時のDVTについては、日本内科学会のHPなどに詳しい内容が記載されています(リンク



(左上)下肢静脈エコー(右上)D-dimer測定
(下)避難所のスペースがない場合は検診車でスクリーニング